英単語学習法

市販英単語学習書を活用する

ここ数年来、文脈を利用した英単語学習法が認知されるようになりつつあり、文脈を利用した、良質な英単語学習書も増えてきました。

これらの英単語学習書は英単語の発音や類義語を詳細に掲載するなど、辞書を引かなくてもいいように設計されています。また、重要度(頻出度)の高い英単語が選び抜かれているので、自分で英単語を選別する必要がありません。

このため、このような良質な英単語学習書を上手に利用することで、学習時間の短縮を図ることができます。

そこで、本項では市販の文脈英単語学習書について考えてみたいと思います。

選択にあたっての注意点

文章の選び方と、具体的な方法はこれまでの中で全て解説していきています。

市販のものについてもこの基準に基づいて選べばいいと思いますが、念のため、以下に避けた方がよい学習書の特徴を挙げておきます。

1.日本語文の中に英単語を埋め込んでいるもの

最近確認してないので現在も販売されているかどうかは知りませんが、文脈を利用した英単語学習書の中には日本語文の中に英単語を埋め込んでいるものがあります。

これは日本語の方が文章の理解が容易で、イメージしやすいからだと思いますが、このタイプの本はお勧めできません。

理由はこれまでも述べてきている通りです。新出単語を覚える過程でなるべく多くの既出単語に触れることが記憶の定着を助けます。

ところが、日本語文では既出単語に触れることができなくなってしまうので、3原則(3つの要素)の中の「使用」が欠けてしまいます。

また、どのような英単語と一緒に、どのような形で使われているかどうか確認できなくなってしまうので、語感を養うことができなくなります。したがって、このような英単語学習書を利用するのは避けた方が賢明です。

なお、イメージ化がどうしても苦手な方が、イメージ化の練習としてこのような日本語文を利用するタイプの学習書を使用することは否定しません。

しかし、このような場合でも、なるべく早く卒業できるよう心がけてください。

2.詰め込み型のもの

文脈利用型英単語学習書にも新出単語詰め込み型のものがあります。文脈型なので短文詰め込み型よりはマシですが、やはりおすすめはできません。

なお、このような学習書でも、レベルが低めのものを選んだり、暗記対象単語の中から難易度が高すぎる単語を外したりすることで、新出単語の割合を低くすることもできます。

3.音声がついていないもの

以前、英単語学習書なのに音声がついていないものを見たことがあります。言うまでもありませんが、このようなものを購入することはやめておきましょう。

おすすめ英単語学習書

ここでは上記をおさえた上で、使用に耐えうる英単語学習書をいくつかご紹介しておきたいと思います。

『英単語・熟語ダイアローグ1800』
秋葉利治,森秀夫,Paul Merredew (著)  旺文社

私が使用した英単語学習書の中では最も優れたものでした。中上級者には語彙のレベルが低すぎるように感じるかもしれませんが、TOEIC対策としてはこの程度の難易度の英単語を習得しておけば十分です。背表紙にTOEICテスト対策とあるのにはうなずけます。

文章の長さも長すぎず、短すぎず、最適な長さになっています。分量もかなりあるのでやり応えがあります。CDも3枚という類書にはないボリュームです。初級後期から中級前・中期の方には是非おすすめしたい一冊です。

また、現在は『えいご漬け』という英語学習ソフトと融合したバージョンが販売されているようです。

私は試したことはありませんが、元の書籍のコンセプトが生かされていれば、優れた学習ソフトになっているのではないでしょうか。

『速読速聴・英単語 Core 1800 ver.2』
松本 茂,藤咲 多恵子,Gail K. Oura ,Robert Gaynor (著)  ビーエスエス

英字紙や放送記事等から集めた生の文章を使用した英単語学習書です。CDにスロースピードとナチュラルスピードの両方が収録されているのが特徴的です。人によっていろいろな使用法が考えられます。

なお、スロースピードといっても単なるスローではなく、意味の区切りで切るように読み上げられているので、初級者から中級者が英語で考える脳を作るには最適だと思います。

一つの文章はおよそ100words程度で構成されていますが、個人的にはもう少し長い方が良かったかな、とも思います。

音読やシャドウイングまで本書で行うということでしたら、この長さでちょうどいいぐらいかもしれません。

TOEICのスコアで言えば500から600台前半あたりの学習者におすすめです。

『速読速聴・英単語 Basic 2200』
松本 茂(著)  増進会出版社

『速読速聴・英単語 Core 1800 ver.2』の初級者用です。TOEIC400前半までの方はまずこちらをやり終えてから『速読速聴・英単語 Core 1800 ver.2』に移るのがよいのではないかと思います。

『速読速聴・英単語 Advanced 1000 ver.2』
松本 茂 , ロバート・L. ゲイナー , 藤咲 多恵子 , 古瀬 哲也 (著), Robert L. Gaynor (原著)  増進会出版社

対象学習者の説明で「TOEIC600台~700台で800台から900台を狙う方」とありますが、私の実感としては、TOEICで800をクリアしてからはじめてもいいぐらい高度な語彙が集めてあります。

TOEIC対策としては語彙のレベルが高すぎるように感じますが、英検1級を狙う方にはこれぐらいでいいのではないでしょうか。

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