英語ことはじめ

英語学習の質と量

学習方法の最適化を考える上で無視できない問題として、学習方法における「質」の学習と「量」の学習の対立があります。

この問題については、いわゆる「英語の達人」の方々の意見も分かれているようです。原因は「英語学習法の乱立とその原因」で言及した学習法乱立の原因と同様、英語習得者の習得経緯が大きく影響しているものと思われます。

「質」の講師、「量」のエリート

学校英語教育の勝利者であるエリートの場合、卒業後「量」的な面を補うことにより英語力を急激に伸ばすことがよくあります。学校英語教育はバランスが非常に悪く、文法等の「質」的なものに傾倒しているからです。

この英語力急伸の経験から「量」を重視するようになったもの思われます。

一方、「質」を重視する方には、専門的に英語教育に関わっているタイプが多いように見受けられます。

このような方は専門的に英語教育に携わっているので、初学者と接する機会が多くなります。英語の基礎能力を身につけるには質的な勉強が不可欠なので、自然と質的なものを重視する勉強法を勧めるようになるのでしょう。

このように考えてくると、「質」と「量」のどちらか一方だけで英語を習得することはきわめて非効率であることがわかってきます。

「9つのバランス」で英語学習におけるバランスの重要性について言及しましたが、この「量と質」についても同様だと考えています。

結局のところはバランスが大切で、英語を習得するには「質」と「量」のどちらも不可欠なのです。

正確さと流暢さ

「質」と「量」の問題についてもう少し考えてみたいと思います。

「質」は言葉を正確に理解できるようになるために不可欠な学習です。これを軽視すると、いつまでたってもなんとなくわかる状態に留まってしまいます。

このような英語力の場合、友人同士のコミュニケーションにおいてなら相手も理解してくれるので何とかなりますが、仕事など責任を伴う場面では使い物になりません。

一方、「量」はより自然な形で英語を使用するのに不可欠です。これを軽視すると、ぎこちない、不自然な表現しかできなくなります。

また、言語の処理速度が遅くなりますので、コミュニケーションの際相手を苛立たせる結果になります。

また、読むスピードも低くなり、同じ仕事を処理するにも余計に時間を要することとなるので、速度を要求する業務においては極めて不利になります。

終着点

語学学習の「質」と「量」について考える上で、無視できないポイントがもう一点あります。

それは、「質」的学習には一応の終着点があるのに対し、「量」的学習には終着点が存在しないということです。

「質」に分類される文法を例にとります。文法とは言語を研究分析し、抽出した言葉の一定のルールのことです。複雑多岐にわたっていても、一定の範囲がありますので、勉強を続ければいつか終了します。

一方、「量」的なものは無限にあります。続ければ続けるほどネイティブスピーカーのような自然な表現ができるようになりますが、完全に追いつくことはありません。 英語を志す以上、「量」的追求は永遠に続きます。

「質と量」の最適化

ポイントはどのようにバランスを取っていけばいいのか、ということになりますが、これもやはり学習者の学習経歴によって決まってくるものと考えています。

エリート型の方は学校教育の中で「質」的なものを十分こなしてきていますので、「量」を重視した勉強法の方がより大きな学習効果を得られると思います。

一方、やりなおし組は早期に基礎能力を固めるため、まずは「質」を重視する勉強法を選択した方がいいものと思われます。

そして、英語習得度に応じて、「質」的な学習から量的な学習を中心とした学習方法へ移行していきます。

結局のところ、短期間で英語を習得するためには、自身の学習状態・進歩状況を把握しながら、常に学習方法の最適化を行っていくことが不可欠だということです。

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